米国の人権団体ヒューマン・ライツ・キャンペーン財団(HRC)は11月18日、2016年版のCorporate Equality Index(企業平等指数、以下CEI)を発表した。同指数によると、米国大手企業や法律事務所らによる、世界中のLGBTの従業員に対する非差別方針の強化は飛躍的に進展していることが分かった。
CEIは、LGBTに対する職場の公平性を示すベンチマークとして2002年に構築されたものだ。HRCは2016年版の調査では満点スコアの基準を上げ、過去14年間で初めて、性的指向や性別認識に基づくグローバルな非差別方針もしくは行動規範を有しているかどうかがトップスコアの条件として加えられた。調査対象となる企業は、全世界の従業員に対して(特定の人びとを排除しない)インクルーシブな方針を実現しているかを評価された。
具体的には、CEIは「非差別の方針を実行」「従業員に対する給付・保障の提供」「LGBTの多様性とインクルージョンに対しての組織力と透明性の明示」「LGBTの人びとが平等であることへの公的なコミットメント」「社会的責任の遂行」という5つの分野において企業や法律事務所を評価した。
調査の結果、米国を本拠地とする多国籍企業の多くが、米国内においてLGBTの従業員を差別しない職場づくりを推進しているだけでなく、世界全体のLGBTの人々に対しても同様の方針を掲げて取り組んでいることが分かった。HRCによると、フォーチュン500社および米国トップレベルの法律事務所の評価は目覚ましく、今回満点の基準が上げられたにも関わらず、CEIの新記録となる407企業が100点満点を達成したという。
満点を獲得したのは、CEIに新たにリストアップされたTwitter、Airbnb、そして2002年にCEI調査が始まって以来、一貫してLGBTの平等を先導してきたアップルやゼロックス等の企業だ。
HRCは企業に対する更なる取り組みへの動機づけとして、過去にも数回にわたって100点満点の条件を変更してきたが、その試みは現状非常に良く機能しているという。例えば、2012年にCEIが最初にトランスジェンダーの従業員に対する保障・給付の提供を満点の条件とした際には、満点の企業が337社から189社に減少したものの、2014年には満点の企業がまた増加して336社となり、フォーチュン500社の内、3分の1以上がトランスジェンダーの人びとにもヘルスケアを提供するようになったとのことだ。
さらに、CEIへの参加企業のうち511社がトランスジェンダーの従業員に対して少なくとも1種類以上の(トランスジェンダーの人々をカバーする)ヘルスケアプランを提供しており、2012年度と比較すると150%の増加となった。また、性別認識に関しても非差別の方針の一環としているのはフォーチュン500社のうち75%となり、2002年の3%から大きく飛躍したという。
2015年はLGBTの人々の権利向上が飛躍的に進んだ都市でもある。6月には米国の連邦最高裁判所が同性婚を憲法上の権利として認めるという判断を下し、事実上米国の全州において同性婚が合法化され、世界中で祝福が巻き起こった。
一方で、そうした政府や行政の動きに先駆けて、グローバル企業の多くは以前からLGBTの人々のインクルージョンに積極的に取り組んできた。多様な地域の多様な市場を相手に事業を営むグローバル企業にとって、職場のダイバーシティは欠かせない要素であり、LGBTの人々のインクルージョンももちろんその一つに含まれる。今後も同様の流れは世界中でさらに加速することが予想される。
【レポートダウンロード】Corporate Equality Index 2016
【参照リリース】Top score requires companies to provide non-discrimination protections to their LGBT employees worldwide
【団体サイト】The Human Rights Campaign Foundation
【参考サイト】Corporate Equality Index
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