一向に解決の糸口が見えない世界の難民問題に立ち向かうべく、ファーストリテイリングが大きな目標を打ち出した。ファーストリテイリングと国連難民高等弁務官事務所(以下、UNHCR)は11月25日、難民支援の拡大に向けて両者間のグローバルパートナーシップを強化する新たな合意書を締結したと公表した。
ファーストリテイリングは2016年から3年間に渡り、UNHCRに対して総額1,000万米ドル(約12億円)の支援を実施する。この支援金は緊急支援としての拠出に加え、職業訓練や技術習得など難民の自立支援プログラムに活用される予定だ。
また、国内外のユニクロ店舗では合計100名を目標に難民の雇用を拡大する。内戦などにより生活基盤を失った難民およびその家族の自立を支援するのが目的だ。現在日本のユニクロ店舗では計13名が働いているが、今後も店舗インターンシップにより適性を見極めた後、本人の希望を確認の上で雇用する。
さらに、同社は難民問題が特に深刻化しているギリシャやセルビアなどのバルカン半島諸国やアフガニスタンに逃れている難民、避難民に対し、越冬支援として新品のヒートテック15万点を2015年末までに寄贈するとしている。
ファーストリテイリングは2006年からUNHCRと連携し、世界の難民および避難民に対する衣料支援を展開してきた。これまでに世界37の国と地域の難民・避難民に1,000万点以上のリサイクル衣料を提供してきた実績を持つ。2011年にはより包括的な難民支援を目的としてアジア企業として初めてUNHCRとグローバルパートナーシップを締結した。
先日フランスのパリで起こった同時テロ事件を受け、各国では難民政策の見直しを求める声も高まっているが、その一方で世界では自主的に難民問題に取り組む企業の動きも活発化している。
スウェーデンの家具大手イケアは、11月末から「難民キャンプに明かりを届けよう」キャンペーンを世界40カ国で展開する予定だ。イケアストアで照明製品を1つ購入するごとに1ユーロがイケア財団からUNHCRに寄付されるというキャンペーンを通じ、難民キャンプに明かりと再生エネルギーを供給する。
また、ドイツ機械大手のシーメンスは、難民向けの有給インターンシッププログラムや宿泊施設の提供、従業員向けに人道支援ボランティアのための有給取得支援などを進めている。
これらの企業のように、自社の製品やサービスといった強みを活かしてどのように難民問題の解決に貢献できるのか、各企業には政府が提供できない独自のリソースを活用した取り組みが期待されている。
【参照リリース】ファーストリテイリングと国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)がグローバルパートナーシップを強化 ~世界の難民・避難民支援のための新たな取り組みをスタート~
【企業サイト】ファーストリテイリング
【団体サイト】UNHCR
(※写真提供:March Marcho / Shutterstock.com)
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