マース、ユニリーバ、ゼネラル・ミルズ、米国ネスレ、ケロッグ、ベン&ジェリーズ、ダノン米国など世界有数の食品メーカーのCEOらは10月1日、米国および世界各国の政府に向けた共同書簡を公表した。書簡の中で、CEOらは企業として責任ある気候変動アクションをとることを誓約すると同時に、政府に対しても同様に今年の12月のCOP21で強力な国際合意を実現するよう求めている。
同書簡をとりまとめたのはサステナビリティ分野の国際アドボカシーNGOのセリーズで、今回書簡に署名した企業は政策立案者らと共にエネルギー・気候変動関連規制の強化を推進しているセリーズのBusiness for Innovative Climate and Energy Policy(BICEP)の会員企業らだ。BICEP企業らが共同でCOP21における国際合意を公式に訴えるのは今回が初めてとなる。
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の最新の報告書によれば、気候変動による悪影響は既に世界の食品サプライチェーン上に現れており、世界各地で価格上昇やそれに伴う社会不安が起こっているという。とりわけ温度変化に敏感な麦の収穫量が減少しつつあり、2030年までにより幅広い農作物への影響が予想されるとのことだ。
グローバル食品メーカーのCEOらは書面の中で、自社のサステナビリティ活動の更なる拡大や他企業との協働、科学に基づく実現可能なCO2排出削減量の目標設定への注力などを宣言している。
また、これらの企業は既に自主的な気候変動アクションとして様々な取り組みを進めている。例えばマースは2040年までに事業オペレーション上から全ての化石燃料の使用を廃止すると宣言しており、2015年末までに2007年比でCO2排出量を25%削減するという目標達成に向けて順調に進捗している。ネスレは2015年までに生産単位あたりの直接CO2排出量を2005年比で35%削減するという目標を設定しており、ゼネラル・ミルズも先日、今後10年でバリューチェーン全体における温室効果ガス排出絶対量を28%削減するという目標を公表している。
このように、農作物の調達価格やボラティリティの上昇など気候変動の影響を大きく受けることが予想されるグローバル食品メーカーの多くはこの問題を喫緊かつ明確なリスクとして認識しており、具体的に行動に移しているのが現状だ。企業がリーダーシップを発揮する中、各国政府は様々な利害調整を乗り越えて国際合意に至ることができるのか。12月のCOP21に注目が集まる。
【書簡ダウンロード】Dear US and Global Leaders
【参照リリース】Global Food Companies Unite On Climate Action
【団体サイト】Ceres
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