米ドラッグストアチェーン大手のCVSヘルスは7月7日、米国商工会議所が米国および海外でタバコ産業の支援活動を行っている点を理由として、同会議所から脱会すると表明した。同社が掲げる企業規範との一貫性を具体的な行動で示した形となる。CVSヘルスは昨年の9月にタバコ関連製品の販売中止を発表したが、その際にも同社のCEOを務めるLarry Merio氏はその理由について「簡潔に言えば、タバコ製品の販売は我々の目的と矛盾するからだ」と説明していた。
CVSヘルスによる今回の意思決定は、同社のインテグリティを象徴する勇気ある行動として、同社と同様に米国商工会議所のタバコ推進に反対する他の会員企業にとっても注目に値する事例となっている。CVSヘルスの担当者はニューヨークタイムズ誌に対し「我々の目的は、人々がより健康な暮らしを実現する手助けをすることであり、当社の経営陣は、タバコの使用はその使命と矛盾するということを理解している」と語っている。
米国では、7月の頭にピューリツァー賞受賞ジャーナリストのDanny Hakim氏が米国商工会議所およびその関連団体が反タバコ規制と逆行したキャンペーンを展開しているという記事をニューヨークタイムズに掲載したばかりで、同会議所の取り組みが話題を集めていた。
CVSヘルスは、米国商工会議所は喫煙率の減少効果が実証されている方法に逆行したキャンペーンを直ちに中止すべきだと主張している。米国の喫煙率は1965年の42.4%から2013年には17.8%へと半分以下に減少しているものの、依然として喫煙は予防可能な死因のトップとなっている。さらに、タバコ産業は新たな市場を求めており、喫煙率は多くの国で上昇しているのが現状だ。
2005年以降、世界で最初のグローバルな公衆衛生条約となる「WHOたばこ規制枠組み条約」に180カ国が参加するなど、現在では世界的にタバコ撲滅に向けた法制化の機運が高まりを見せている。WHOは決定的な行動を起こさない限り、タバコを原因とする死亡者は20世紀の1億人から21世紀の10億人へと増加し、その80%が低・中所得の国で発生することになると予測している。
米国商工会議所は300万以上の会員企業を有する、言わずと知れた米国最大の企業団体だ。会員企業にはグーグルやマイクロソフトなど米国を代表する大手企業が数多く含まれる。米国および世界の経済界に対して多大な影響力を持つ米国商工会議所を、自社の理念と行動の一貫性を保つために脱会するという勇気ある決断をしたCVSヘルスの今回の行動は、真に責任ある企業としての模範事例となりそうだ。
【参照リリース】CVS Health Demonstrates Integrity and Corporate Leadership With its Decision to Resign From U.S. Chamber of Commerce
【企業サイト】CVS Health
(※写真提供:Ken Wolter / Shutterstock.com)
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