メキシコのエンリケ・ペニャ・ニエト大統領は7月14日、訪問中のフランス・マルセイユでフランスのオランド大統領と会談、今年12月にパリで開催される予定のCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)においてフランスと「提携」することを発表した。
パリ会議では、「京都議定書に代わる新しい国際枠組み」の総仕上げとなる重要な場だ。今年2月上旬にジュネーブで開催された交渉会議では、新たな枠組みの草案はある程度固まった。昨年11月には温室効果ガス削減目標で米中が合意し、明るい兆しも出ているが、最終的にパリ会議で合意に達せられるかどうかは楽観はできない状態が続いている。対立軸は、新たな枠組みに、成長著しい新興国をどこまで巻き込めるかどうかだ。パリ会議の議長に就く予定の開催国フランスのファビウス外相は、現在積極的に妥結に向けた交渉を続けている。
メキシコとフランスの首脳会談で、メキシコのコミットメントを引き出せたことは大きい。先月6月にドイツ南部エルマウで開催されたG7サミットでは、オランド大統領はドイツのメルケル首相と協働し、2050年までに世界全体の温室効果ガスの削減量を、2010年比で40~70%の幅の「上方」とする新たな長期目標を盛り込んだ首脳宣言を採択した。同時に、途上国の温暖化対策への資金援助で「20年までに年間1,000億米ドル」との目標も再確認した。米中合意はあるものの、途上国対策の一番の念頭は、発展度合いが遅いインドや南アフリカのほか、後発発展途上国(LDC)などに置かれている。その中で今回のメキシコのコミットメントは、ターゲットの一角を巻き込むことに成功したと言える。
メキシコとフランスの関係はこの数年良好ではなかった。フランス市民がメキシコで7年以上も投獄されている問題に端を発し2013年に釈放されるまで両国の間では外交関係が冷え込んでいた。一方で、フランスとメキシコの貿易関係は急増し、今年始めだけでも30%の伸びをマーク。特に、投資額第4位にまで成長したメキシコの航空宇宙産業には熱視線が送られている。その中、オランド大統領は、フランス革命の発端となったバスチーユ監獄の襲撃を祝うパリ祭が行われる同日を選んでニエト大統領を招待、今回の首脳会談が実現した。パリ会議まであと5ヶ月、途上国を巻き込むギリギリの交渉はまだまだ続きそうだ。
【参照リリース】México, aliado de Francia en lucha por el medio ambiente: Peña
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