米IT大手のグーグルは6月24日、米国アラバマ州に100%再生可能エネルギーのデータセンターを設立すると発表した。グーグルはこれまで米国アイオワ州、ジョージア州、シンガポール、ベルギーへと自社データセンターを拡大させてきたが、世界で14番目となる今回のデータセンターはその中でも特に画期的なプロジェクトとして話題を呼んでいる。なぜなら、この新しいデータセンターは間もなく閉鎖予定のウィドウズクリーク石炭火力発電所の跡地に建設される予定だからだ。
今、世界では化石燃料から再生可能エネルギーへの転換が叫ばれているが、このグーグルのプロジェクトは世界のトレンドを象徴するプロジェクトとして注目を浴びているのだ。
データセンターは稼働までに多くのインフラ整備が必要となるため、グーグルは石炭火力発電所のように広大な工業用地を新たにデータセンターとして転用することに大きな可能性を見出している。同社は発電所の既存インフラを活用し、6億米ドルを投じて新たに24時間稼働のデータセンターを建設する予。建設開始は来年初旬を予定している。
ウィドウズクリークでは既存の送電線を活用してデータセンターに再生可能エネルギーが送られることになる。同社は今回の事業でテネシー川流域開発公社と協働し、継続的に再生可能エネルギーの創出に取り組むことで最終的に同センターの再生可能エネルギー利用比率を100%にすることを目指している。
また、今回のデータセンターには同社の最先端エネルギー効率技術が導入される予定だ。極めて高効率のサーバーや機械学習、より効率的にデータセンターを冷却する方法などの開発を通じて、5年前と比較してコンピュータの計算に関わるエネルギー効率は3.5倍にまで飛躍したという。
1960年代以降、長らく地域に電力を届けてきた発電所が、今度はインターネットサービスのために使われ、世界中の人々に情報を届けることになる。
グーグルは2010年から積極的に再生可能エネルギーへの移行を進めており、今では電力業界以外の企業としては世界で最も多くの再生可能エネルギーを調達する企業の一社となった。現在では米国内に設置された風力発電所から発生するエネルギーの1.5%以上に相当するエネルギーを購入するなど、再生可能エネルギーの購買量に関しては世界トップを走っている。
現在グーグルの全データセンターにおける再生可能エネルギー利用率は46%程度となっている。既にデータセンターにおける再生可能エネルギーの利用率100%を達成したアップルに追随することができるか。今後の動向に注目したい。
【参照リリース】A power plant for the Internet: our newest data center in Alabama
【企業サイト】Google
(※写真提供:turtix / Shutterstock.com)
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