飲料大手のコカ・コーラが、人々のステレオタイプ、偏見をなくすための新たなキャンペーンをスタートした。イスラム教徒の人々のラマダーンの時期に合わせて、中東地域で販売している飲料の缶から”Coca-Cola”のラベルを取り除くというものだ。
キャンペーン用にデザインされたコカ・コーラの缶は、同社のブランドカラーである赤色だけを残してラベルの片側は完全にブランクに、そしてもう片側には下記の言葉が刻まれている。
”Labels are for cans, not for people.(ラベルはカンに貼るもの。人に貼るものじゃない)”
コカ・コーラは同キャンペーンに合わせて、新たなショートフィルムを公開した。”It takes 7 seconds to build a prejudice based on someone’s appearance(人は誰かの外見から偏見を持つのに7秒しかかからない)”というメッセージで始まるこの動画は、見知らぬ人々同士は暗闇のディナーパーティーに招待され、様々なトピックやお互いの共通点について話し合うというものだ。参加者はお互いの外見がまったく分からないまま暗闇の中で会話を楽しんだあと、ついには照明が点灯し、お互いの姿が日の目にさらされる。
参加者らはお互いの姿を目にしたとき、驚きの声を上げた。暗闇の中で作り出したそれぞれに対する印象と、実際の見た目とのギャップに驚いたのだ。そして最後にはラベルがないコカ・コーラの缶を渡され、“Labels are for cans, not for people.“というメッセージを見たときに、自身が人々に対して無意識に抱いている偏見の存在に気づかされるのだ。
コカ・コーラは、このキャンペーンを企画した背景として、Campaign Indiaの中で「世界中で平等や偏見の撲滅がホットトピックとなっている今、世界を代表するブランドの一つであるコカ・コーラは、どのようにこの話題に加わることができるだろうか?レッテルや偏見のない世界の実現に向けた取り組みの一環として、中東がラマダーンの時期に合わせて世界で最も有名なラベルの一つであるコカ・コーラが自身のラベルを缶から外すことにした。」と説明している。
この中東でのキャンペーンは、コカ・コーラがグローバルで展開している偏見の撲滅キャンペーン、”Let’s take an extra second“とも関連している。今年の4月に公開された同キャンペーンの実験動画も、人々の心を動かすフィルムとして話題を呼んでいた。
”Coca-Cola”という世界の誰もが知っている強力なブランドを持つコカ・コーラが、あえて自身の象徴でもあるブランドロゴを缶から消すことで人々に「偏見」の存在に気付いてもらおうというこのキャンペーン。自社のブランド力を逆手に取り、人々に対して非常に訴求力のあるメッセージを投げかけている。
【参照記事】MMGB: Coca-Cola says avoid ‘labels’ this Ramadan, drops name from cans
【参照サイト】Campaign India
【企業サイト】The Coca-Cola Company
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