国際フェアトレード認証ラベル
製品に対するフェアトレード認証。国際フェアトレード認証ラベルは、その製品の原料が生産されてから、輸出入、加工、製造工程を経て「国際フェアトレード認証製品」として完成品となるまでの全過程で、国際フェアトレードラベル機構(Fairtrade International)が定めた基準が守られている証になります。(※「フェアトレード」についてはこちらを参照)
国際フェアトレード認証ラベルができるまで
1946年に誕生したと言われるフェアトレードは、1950年代から活動が盛り上がり、主に教会組織やフェアトレード専門ショップ、自然食品店などでフェアトレード商品が販売されていましたが、より多くの人にフェアトレードを伝え、盛り上げていくために、1980年代から「フェアトレードのラベルを作ろう」という運動が盛り上がり、各地で様々なラベルが作られました。その後、1997年に国際フェアトレードラベル機構が設立され、2002年には、バラバラだったフェアトレードのラベルデザインが共通のものとなり、現在普及している「国際フェアトレード認証ラベル」となりました。
国際フェアトレード認証ラベルの「5つの基準」
国際フェアトレード認証ラベルの基準では、以下の5つを守ることを求めています。
- 生産者への適正な価格と長期的な取引
- 生産者の社会的・経済的な発展
- 生産物の品質と技術の向上
- 生産者の労働環境と労働条件(強制労働と児童労働の禁止)
- 生産地の環境保全(農薬使用、水質、森林、土壌の保全、廃棄物の扱いに関し国際規約を遵守)
よって、国際フェアトレード認証ラベルのついた商品を買うことは、上記について第三者が審査し、問題ないと判断した商品を買っていることになります。
認証制度の概要
認証を受けるには、まず組織が国際フェアトレード基準を遵守した取引をおこなう必要があります。それを守った上で、まずは組織が審査を受け、ライセンス認証料を支払って認証、ライセンスを取得します。その後、製品の認証を申請し、審査を受けて通れば、ライセンス取得になります。認証を受けた後も定期的に監査、報告をする義務があります。
なお、日本国内で認定を考えている団体、企業は「フェアトレード・ラベル・ジャパン(FLJ)のウェブサイトに詳しく載っているので、参考にしてください。
国際フェアトレード認証ラベルの対象商品
フェアトレード対象産品となっているのは以下の製品です。
食品
- コーヒー:焙煎豆
- 生鮮果物:バナナ、りんご、アボカド、ココナッツ、レモン、オレンジ、ワイングレープ
- カカオ:チョコレート
- スパイス:バニラ、クミン、コショウ、ショウガ、シナモンなど
- ハーブ:ルイボス、ハイビスカス、カモミールなど
- 蜂蜜:蜂蜜
- ナッツ:カシューナッツ、胡桃、アーモンド、マカデミアンナッツ
- オイルシード・油性果実:ごま、オリーブ、大豆など
- 加工果物・野菜:ドライフルーツ、フルーツジュース、ドライ野菜
- サトウキビ糖:砂糖
- 茶:紅茶、緑茶など(※ルイボスティーは、ハーブに分類)
- 野菜(豆類・じゃがいも等を含む):ピーマン、メロン、ジャガイモ、ひよこ豆、レンズ豆など
- 穀類:米、キヌアなど
食品以外
- 繊維:コットン
- 花:バラ、カーネーションなど
- スポーツボール:サッカーボール、フットサルボールなど
- 金:金
- 木材:家具、床材など
※「フェアトレード・ラベル・ジャパン(FLJ)のHPより
国際フェアトレード認証ラベル取得の効果
一番の効果は、一般にもフェアトレードが広まった点です。ラベルができるまでは、フェアトレード団体は多数あるものの、一般企業がフェアトレードに参加するにはノウハウもなく、難しい状況でした。国際フェアトレード認証ラベルは、分かりやすい基準があり、製品1つからでも申請できるので、一般企業がフェアトレードに参加しやすくなりました。
この結果、多くの企業がフェアトレードに参加するようになり、身近なスーパーやコンビニなどで、多くのフェアトレード商品を買えるようになりました。また、国際フェアトレード認証ラベルがついている商品は、誰もが一目でフェアトレードの商品だと分かるため、一般の人々がフェアトレードを簡単に見分けられるようになり、知らなかった人にはフェアトレードを知るきっかけになりました。
なお、現在日本国内における認証製品の数は約400製品で、海外で認証された製品を輸入して日本で販売している商品を含めると、500以上の認証製品が日本で販売されています。
国際フェアトレード認証ラベルの課題
国際フェアトレード認証ラベルの課題として、ジャン・ピエール・ボリス著の『コーヒー、カカオ、米、綿花、コショウの暗黒物語―生産者を死に追いやるグローバル経済』には、認証に時間、費用がかかりすぎる点が挙げられています。日本でも、地道に活動しているフェアトレード団体が、団体規模が小さいため、時間、費用を理由に国際フェアトレード認証ラベルの取得をあきらめている例があります。
また、国際フェアトレード認証ラベルの対象商品の種類の少なさへの指摘もあるようですが、この問題の背景には「新しい産品を認証対象に加えるには、それによる生産者へインパクトを厳密に調査し、また新しいフェアトレード国際基準を作成しなければならず多くの時間と資金が必要」という問題があります。
今後は、より多くの企業、団体が参加できる体制を作り、対象商品の種類を増やせば、国際フェアトレード認証ラベルは、更に普及するでしょう。
参考文献、参考URL
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら