高い若年失業率に悩むスペインが、社会貢献型債券を活用した地域の雇用創出、中小企業支援に乗り出した。ESG評価・分析を手がけるサステナリティクスは3月18日、スペインの政府系金融機関、スペイン開発金融公庫(ICO)が発行した同国初となる社会貢献型債券の枠組み査定を行ったと発表した。1月下旬に発行された同債券により調達された10億ユーロは、スペイン国内でGDPが全国平均よりも低い地域において、中小企業の雇用の創出と保護のために活用される。
サステナリティクスは、ICOの債券が「グリーンボンド原則」のような優れた基準に沿っているか、収益と資金の分配方法、報告義務を果たしているか、社会に好影響をもたらしているか、といった観点から枠組み評価を行った。同社の査定により債権の信頼性は高まり、投資家は債権の目的とその達成方法についてより理解を深めることが可能となる。
ICOの資本市場部長を務めるRodrigo Robledo氏「2009年の金融危機以降、スペインのいくつかの地域では、高い失業率に悩まされている。そのような地域の中小企業を我々の社会貢献型債券で支援し、雇用の創出につなげたい。グリーンボンドや社会貢献型債券に関するサステナリティクスの専門的知見を活かすことで、我々は強固で信頼性の高い枠組みを構築することができた。マンデートに応じた収益の適切な配分を確実にするためにもサステナリティクスと協力していきたいと考えている」と語った。
今回ICOが発行した社会貢献型債券は、低金利で返済期間に無理のないローンを中小零細企業に融資し、雇用の創出と安定化につなげようというものだ。収益に関する透明性を確保するため、ICOは地域別・業種別の分配額に関する詳細なレポートを発行する。サステナリティクスは、分配された基金の適格性を1年後に調査する予定だ。
サステナリティクスのCEOを務めるMichael Jantzi氏は「ICOの社会貢献型債券発行を手助けできたのは光栄なことだ。ICOとの共同作業により、債券の収益が社会に良い影響をもたらすことや、報告プロセスの透明性が保たれていることを保証することができた。社会貢献型債券について必要な情報を提供することで、投資家たちの長期的な投資計画に役立てることができる」と語った。
社会貢献型債券は社会課題の解決に向けて資金を呼び込む優れた仕組みだが、投資家を惹きつけるためにはその信頼性や透明性が鍵を握る。今回はスペイン最初の社会貢献型債券となるだけに、融資先地域における失業率低下といった具体的な成果をどこまで生み出すことができるのか、期待がかかる。
【参照リリース】Sustainalytics Evaluates the Framework for Spain’s First Social Bond
【企業サイト】Sustainalytics
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