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【日本】GPIF、株式運用においてESG投資を検討へ

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 日本でもいよいよESG投資の流れが加速することになりそうだ。年金積立金管理運用独立行政法人(以下、GPIF)は4月2日、2015年4月から2020年3月までの今後5年間における中期計画を公表した。

 今回公表された中期計画の中では、新たに「株式運用において、財務要素に加えて、収益確保のため、非財務要素であるESG(環境、社会、ガバナンス)を考慮することについて、検討する」との文言が盛り込まれた。

 GPIFは現在、将来の年金制度の維持に必要な運用利回りを担保しつつ、長期的に効率的かつ安定した運用を実現するためにポートフォリオの入れ替えに取り組んでいる。特に債券よりも高利回りの見込める株式の比重を増やしており、国内株式25%、海外株式25%を基本ポートフォリオとしている。実際にGPIFが2月末に公表した2014年10~12月期決算によると、2014年12月末時点で国内株式比率は19.80%、海外株式比率は19.64%とそれぞれ10月時点から2%以上上昇している。

 しかし、株式は債券よりも高い利回りが期待できる一方で、その分運用リスクも高くなる。そこでスポットライトが当たっているのが、ESG投資の考え方だ。ESG投資は環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)に適切に配慮・対応している企業は持続的な成長が見込め、中長期的に優れた財務パフォーマンスを実現するという考え方に基づく投資手法だ。

 サステナビリティ投資の国際イニシアチブ、Global Sustainable Investment Allianceが2月に発表した報告書によると、現在ESG要素を統合した投資手法に基づく資産運用規模は世界で12,9兆ドルに達しており、世界的にESG投資の流れは加速している。(※参考記事:【国際】2014年の世界のサステナビリティ投資は2012年から61%増加の21,4兆米ドルに到達

 今回、約137兆円という運用資産を持つ世界最大の機関投資家、GPIFがESG投資の検討を中期計画に盛り込んだことは、日本はもちろん世界全体にとっても大きな潮目となりそうだ。今後は共済年金などの他の機関投資家にもESG投資の流れが波及することが期待されている。

 また、今回の中期計画の中には、日本版スチュワードシップコードに関する文言も盛り込まれている。GPIFは、市場および民間の活動への影響に対する配慮として「企業経営に対して過度に影響を及ぼさないよう配慮するとともに、企業経営等に与える影響を考慮しつつ、株主等の長期的な利益の最大化を目指す観点から、株主議決権の行使等の適切な対応を行うこと。その際、「責任ある機関投資家」の諸原則≪日本版スチュワードシップコード≫を踏まえ、スチュワードシップ責任(機関投資家が、投資先の日本企業やその事業環境等に関する深い理解に基づく建設的なエンゲージメント等を通じて、当該企業の企業価値の向上や持続的成長を促すことにより、顧客・受益者の中長期的な投資収益の拡大を図る責任をいう。)を果たす上での基本的な方針に沿った対応を行うこと。」としており、機関投資家として企業に対する働きかけを行っていくことを明示しており、企業の事業慣行にも大きな影響を及ぼすことになりそうだ。

 年金基金のように中長期のリターンを前提とする機関投資家の場合、同様に企業の中長期的な価値向上を前提とするESG投資の考え方がフィットする。国民の関心も高い年金の運用機関であるGPIFがESG投資を検討に加えたことで、他国と比較してESG投資の取り組みが遅れている日本にとっての大きな変革のきっかけとなることが期待される。

【計画書ダウンロード】年金積立金管理運用独立行政法人中期目標
【機関サイト】GPIF

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