CSRコンサルティングのCSRアジアは3月19日、貧困問題に取り組む国際NGOのオックスファムとの共同研究の一部として、インクルーシブビジネスを通じてCSV(共通価値創造)を実現する方法についてまとめた報告書、"Creating Shared Value Through Inclusive Business Strategies"を公表した。
今、世界では人口の3分の2が貧困層に属しており、彼らの多くは必要最低限のサービスさえ受けられないでいる。彼らが独力で自らの経済的困難を打破するのは非常に困難な場合が多い。企業は雇用創出やサプライチェーンを通じて貧困にあえぐ人々の苦難を軽減することができるが、今、企業にはそれだけではなく、貧困層の人々を自社のバリューチェーンに巻き込みながら共に発展していくという事業の在り方、インクルーシブビジネスが求められている。
そしてその根幹となるのが「共通価値創造(CSV)」の考え方だ。CSVは事業として成り立つ形で社会的課題を解決することを目指しており、企業に対してグローバル課題の解決、開発への貢献をしながら競争力を高める機会を提供する。CSVは事業の成長、生産性の向上、収益と新たな機会の創出と同時に、貧困にあえぐ人々に収入をもたらし、さらには持続可能な技能やテクノロジーの導入により、環境と資源の保全も実現する。
CSRアジアの代表を務めるRichard Welford氏は「効果的なインクルーシブビジネス戦略は、貧しい人々や社会的弱者に経済的便益をもたらすだけではなく、企業のバリューチェーンの競争力を高める」と語る。
同レポートはインクルーシブビジネス戦略を通じていかにCSVを実現するかを解説しており、また、インクルーシブビジネス戦略の導入に関心を持つ企業が実行するべき、実践的なロードマップを提示している。また、発展途上国で実践されているインクルーシブビジネスの実例も数多く紹介されている。
「CSVアプローチの大きなメリットは、取り組みが自然と拡大していく点にある。企業は社会的ニーズに取り組めば取り組むほど、そのぶん利益は増加する」とWelford氏は語る。
レポートではインクルーシブビジネスによって共通価値を創造する方法は一つではないと結論付けた上で、バリューチェーンの性質を見極め、貧しい人々に利益をたらす援助方法を注意深く設計することが重要だとしている。
インクルーシブビジネスは、急速な経済発展とそれに伴う環境破壊や貧困格差などが深刻化しているアジアや中南米において、今もっとも注目されているビジネス手法の一つだ。発展途上国で事業を展開している企業にとっては同レポートで提示されているフレームワークや事例が多いに参考になるはずだ。レポートは下記からダウンロード可能。
【レポートダウンロード】Creating Shared Value Through Inclusive Business Strategies
【企業サイト】CSR Asia
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら