英国に本拠を置くThe Prince’s Accounting for Sustainability Project(以下、A4S)のCFO Network(最高財務責任者ネットワーク)は3月11日、財務会計担当者向けに、サステナビリティを事業プロセスと意思決定に統合する際の実務上の課題を解決するための4つの手引きを公表した。
この手引きはA4SのCFOリーダーシップネットワークおよび財務、リスク管理、内部監査、IR、サステナビリティなどの専門家で構成されたチームにより開発されたもので、それぞれの手引きには、同ネットワーク会員企業らによる実践事例も含まれている。4つの手引きの内容は下記の通りだ。
- CAPEX:設備投資の採算性評価にサステナビリティを統合する実践的な方法の紹介
- 投資家のエンゲージメント強化:IR担当者が投資家に対してサステナブルなビジネスモデルと株主価値創造の関係性を説明し、投資家を惹きつけるための実践的な方法
- 不確実性の管理:気候変動、人口爆発といったマクロなサステナビリティトレンドから生じるリスクを意思決定に取り入れる方法
- 自然資本・社会資本会計:財務担当者向けの、自然資本・社会資本会計に関する用語やメリットや課題の解説
英国小売大手、セインズベリーの最高財務責任者兼A4SのCFOネットワーク会長を務めるJohn Rogers氏は、「最高財務責任者として、我々は企業がビジネスにおける価値観、特にサステナビリティの重要性を認識する上で大きな役割を担っている。しかし、どこから取り掛かればよいかが分からないことも多いので、我々の手引きはCFOらに対して他社がどのようにこの課題に取り組んでいるかについての実際の事例も踏まえた実用的なアドバイスを提供することを目指して作成されている」と語った。
CFOネットワークの会員企業らは手引きに記載された方法を実践しながら、今年の後半にはさらなる事例を公表する予定だ。また、2015年中には統合報告、および予算編成と業績予測へのサステナビリティの統合に関する新たな手引きも発表する予定とのことだ。
サステナビリティを事業に統合する上ではCFOの理解が鍵を握る。財務・会計部門とCSR部門の連携や意思共有に課題を持つ企業にとって、この手引きはとても参考になるはずだ。興味がある方はぜひ参考にしてほしい。
【手引きダウンロード】A4S CFO Leadership Network activities
【団体サイト】The Prince’s Accounting for Sustainability Project
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