貴州の貴陽で3月12日、EUと中国が2010年から共同で行ってきたEU中国環境ガバナンスプログラム(EGP)の15のプロジェクトのうち、貴州で展開されていたプロジェクトが閉幕した。貴州のプロジェクトは、その成果が今年年初に思考された新環境保護法に多くの概念が導入されるなど大きな成果を収めるなど実りが多いものとなった。
EGPは、EUが1500万ユーロを拠出し、中国国務院の商務部(経済産業省に相当)と環境保護部(環境相に相当)が所管してきたプログラム。実務面は中国環境保護部の「環境と経済政策研究センター」が担っていた。プロジェクトの目的は、2001年に発行したオーフス条約(環境に関する、情報へのアクセス、意思決定における市民参加、司法へのアクセスに関する条約)に基づき中国国内に環境保護のためのガバナンスを確立するというもので、政府制度や司法制度が未整備な中国が環境権を確立できるかどうかの試金石となっていた。プロジェクトの実施は、目的を15に分けて中国各地で実証実験を行い、そこでの成果を中央政府が吸い上げて、全国レベルの制度化を行うという2段階で進められてきた。2015年には15全てのプロジェクトが完了する予定だ。
貴州省が担当したプロジェクト(EGP-Guizhou)は、貴州州民が環境保護権の保護についての司法アクセスを改善するというもの。プロジェクトには120万ユーロが投じられ、スウェーデン環境研究所(IVL)や中国の環境保護NGOである中華環境保護連合会(ACEF)、貴州省環境保護国際協力センター、貴陽公衆環境教育センターとの協働のもと、政府当局、NGO、司法機関、企業、法律事務所、ボランティア弁護士など関係者全体の環境への意識を向上させることをミッションとしてきた。とりわけ、裁判所など司法当局での環境保護に対する能力開発が整備されたことが大きな成果だ。新環境保護法にもプロジェクトからの教訓が多く反映されており、スポンサーであるEU及び中国政府からプロジェクトの成功を称える声も出た。
プログラム全体の推進には、中国政府の関係者だけでなく、EUからも専門家代表団を送り込み、二人三脚で事にあたってきた。貴州のプロジェクト単位でも、スウェーデン環境研究所が全体をマネジメントし現地NGOの協働体制を作るなど、EU諸国の活動家と中国現地の活動家との接点を作ることにも大きく寄与している。今回はEUと中国という政府主導でプログラム体制が構築されたが、今後はそれぞれの活動家単位での交流にも拍車がかかりそうだ。
【プロジェクトサイト】EGP-Guizhou
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