世界のサステナビリティ報告においては、障がい者の人権課題も重要性を増してきている。サステナビリティ報告に関する国際ガイドラインのGRIとEuropean Network for CSR and Disability(CSR+D)の推進機関のFundación ONCEは3月11日、世界の障がい者を取り巻く状況や、障がい者を自社の事業に上手に取り込んでいる先進企業の事例、GRIに準拠したサステナビリティ報告に障がい者への取り組みを統合する方法などを紹介したガイドブック、"Disability in Sustainability Reporting"を公表した。同ガイドブックは障がい者の人権尊重・向上に向けて組織内部のコミュニケーションを促進する助けとなる。
GRIの最高責任者を務めるMichele Meehan氏は「障がい者は世界でも世界最大のマイノリティだ。彼らの大半が我々の社会では軽視されており、特に雇用の分野においてそれが顕著だ。このガイドブックは、障がい者の人権に影響を与えうる活動や、それらの影響を報告する上でどのGRI開示項目を活用できるかについて、組織内の理解が深まるように作られている」と語る。
同ガイドブックは、インクルーシブな職場づくり、新製品やサービスの開発に向けた障がい者の持つ強みの活用など、障がい者に関する透明性を高めることの重要性が分かるようになっており、世界中の数多くの企業の成功事例も紹介されている。
GRIとFundación ONCEは今後も協働して障がい者の人権の尊重・向上に取り組む組織の支援を続けていく方針だ。
日本では、障害者雇用促進法により民間企業は常時雇用する従業員の2%以上の障がい者を雇用することを義務付けられているが、実際の採用市場では法定雇用率を満たすために他の従業員と同様の業務が担当可能な軽度の障がい者や、知的労働に支障がない身体障がい者ばかりに採用ニーズが集まっているなど、政策の本質と大きくずれた実態があるのも現状だ。
一方で、海外ではロレアルやサムスン、ウェストパックグループなどの先進企業が障がい者を積極的に自社の事業に取り組み、社会的責任を果たしつつ新たな機会を生み出している。同レポートではGRIガイドラインと障がい者の人権課題との関わりだけではなく、そうした海外企業の事例も多く掲載されているので、興味がある方はぜひ下記から確認してみてほしい。
【レポートダウンロード】Disability in Sustainability Reporting
【団体サイト】Global Reporting Initiative
【参考サイト】European Network for CSR and Disability(CSR+D)
【参考サイト】Fundación ONCE
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