サステナビリティ報告に関する国際ガイドラインのGRI(グローバル・レポーティング・イニシアチブ)と、DJSI(ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス)の格付機関としても知られるSRI評価会社のRobecoSAM社は3月4日、報告者の視点から見たマテリアリティと投資家の視点から見たマテリアリティを比較した研究報告書、"Defining Materiality: What Matters to Reporters and Investors.(マテリアリティの定義:報告者と投資家にとって重要なこと)"を発表した。
GRIおよびRobecoSAMがそれぞれ報告者、投資家の視点から見たテクノロジー業界および金融業界のマテリアリティを分析した結果、これら2つの業界において報告者と投資家がマテリアルだと考えているサステナビリティ課題は概ね一致するという結論に至った。
具体的には、テクノロジー・ハードウェア業界においては、報告者、投資家ともにサプライチェーン・マネジメント、イノベーション、環境マネジメントを最もマテリアルだと認識していることが分かった。なお、投資家は報告者よりもコーポレート・ガバナンスを重要だと認識しており、一方で報告者はビジネス・エシックスを投資家より重要視していることも分かった。また、金融業界においては、報告者・投資家ともにリスク・マネジメント、コーポレート・ガバナンスを最もマテリアルと認識しており、人材教育や雇用、ダイバーシティ、機会平等なども両者ともに重要視していることが分かった。
GRIのサービス担当役員を務めるÁsthildur Hjaltadóttir氏は「今回の調査を通じて、マテリアリティという概念に様々な定義があることが市場において大きな懸念になっている中、多くの関係者のマテリアリティという概念に対する理解では相違点よりも共通点が多いことがわかった。GRIガイドラインに記載されているようなステークホルダーエンゲージメントが実現、報告者は投資家に対しても他のステークホルダーに対しても効果的なコミュニケーションを図ることができる」と語った。
また、RobecoSAM社のサステナビリティ投資R&D部門のトップを務めるDaniel Wild氏は「今回の共同調査から、最もマテリアル課題の分析が報告者と投資家双方に与えてくれる価値を明らかになった。我々はこのGRIとの共同出版物が、投資家と報告者の間の更なる議論と協働につながることを望んでいる」と語った。
マテリアリティの定義についてはガイドラインにより異なり、それらがしばしば混乱を生み出していると言われることも多いが、今回のGRIとRobecoSAMとの共同調査により、レポート報告者と投資家との間のマテリアリティに対する認識には多くの共通点があることが明らかになった。報告者、投資家ともに、効果的な対話を実現するためには双方の視点の理解が欠かせない。その意味で今回の報告書は両者の相互理解の大きな助けとなるはずだ。レポートは下記からダウンロード可能。
【レポートダウンロード】Defining Materiality: What Matters to Reporters and Investors.
【団体サイト】Global Reporting Initiative
【企業サイト】RobecoSAM
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