世界銀行は2月19日、これまで同行が発行してきた米ドル建てグリーンボンドの中で過去最大となる総額6億米ドル、10年固定金利のグリーンボンドを発行した。10年という償還期間も世界銀行が発行するドル建てグリーンボンドの中では過去最長となる。同グリーンボンドは気候変動問題へ対処するプログラムの支援に充てられる。
世界銀行は今回の債券発行によりグリーンボンド市場に新たな投資家を惹きつけ、更なる投資拡大を目指す。同行は現在既に世界18か国、80以上のグリーンボンドを通じて約80億米ドルのグリーンボンドを発行しており、支援しているプロジェクトの中には再生可能エネルギー設備の導入、エネルギー効率化プロジェクト、廃棄物管理、温室効果ガス排出を減らす農業テクノロジー、森林・水資源管理、気候変動による洪水を避けるインフラ整備などが含まれる。
同グリーンボンドは、AP2、AP4(スウェーデンの公的年金基金)、ブラックロック、ドイツ銀行、日興アセットマネジメント、日本生命らを含む25社により取り扱われる予定で。投資家の内訳としては43%が資産運用会社、31%が銀行および企業、26%が年金基金、保険会社となっている。また、地域別の保有割合としては、39%が米国、28%がヨーロッパ、17%が中東・北アフリカ、16%がアジアとなっており、ドイツ銀行、モルガンスタンレー、SEBが共同主幹事を務める。
ドイツ銀行でHead of Sovereign, Supranational, Agency originationを務めるNigel Cree氏は、「世界銀行の今回の10年グリーンボンドは、気候変動プロジェクトを対象とする投資戦略を持つ民間の投資家らの増加に対応したものだ。この長期的な流れと新たなグリーンボンド投資家との結びつきは、持続可能な債券市場の発展と成長における世界銀行が先進的な役割をはたしていることの表れだ。我々は、この重要な取引に貢献できることを誇りに思う」と語った。
また、モルガンスタンレーでHead of Green Bond Originationを務めるNavindu Katugampola氏は、「世界銀行はグリーンボンド市場の発展をリードし続けており、過去最長となる米ドル建てグリーンボンドにより新たな投資家を惹きつけている。モルガンスタンレーは、これまでいくつかの画期的なグリーンボンド発行において世界銀行と協働してきたことを誇りに思い、低金利で長期の保有をしたいというグリーン投資家の需要に応える好機を迎えられることを嬉しく思う」と語った。
今回の世界銀行による過去最大規模のグリーンボンド発行により、グリーンボンド市場は更なる活況を見せそうだ。世界各地で進行している数多くの気候変動対策プロジェクトに対し、新たに多くの資金が融通されることを期待したい。
【参照リリース】World Bank Issues its Largest USD Green Bond
【企業サイト】The World Bank
(※写真提供:Mark Van Scyoc / Shutterstock.com)
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