国連ビジネスと人権に関する指導原則(以下、UNGPs)に沿った人権の取り組み状況に関する世界で初めての包括的な報告フレームワーク、"The UN Guiding Principles Reporting Framework"が開発され、2月24日にロンドンで公表された。
同フレームワークを開発したのはUNGPsの研究機関であるShiftおよび、グローバルアカウンティングファームのMazars(マザー)で、18カ月に渡り研究、協議を重ねて完成させた。ユニリーバ、エリクソン、H&M、ネスレ、ニューモントの5社が最初に同フレームワークを活用した報告を実施する予定で、その他の企業も2015年中に活用を開始する見込みだ。また、総額3.91兆USドルの資産を運用している67の機関投資家、運用会社らも「企業の抱える人権リスクを把握でき、企業評価に役立つ」として同フレームワークを支持する声明に署名している。
「国連ビジネスと人権に関する指導原則」は、2011年6月に国連人権理事会において承認された人権の保護、尊重、救済についての指導原則で、全ての国家と企業に適用されており、企業や国家はより細やかなビジネスにおける人権問題の対応を求められることとなった。 同フレームワークはこの指導原則をもとに企業が人権への取り組み状況を報告する方法を包括的に提示している。
Shiftの代表を務めるCaroline Rees氏は「この報告フレームワークは、企業が人権侵害のリスクを回避し、何百万人もの従業員に良い影響を与えていることを企業の内外に知らせる、効果的なツールになる。企業はもちろん投資家や市民社会からも支持を受けているので、今後はより多くの企業の活用を期待したい」とコメントを寄せている。
この報告フレームワークは、人権に関する質問に回答していくことで、企業規模や人権保護の対策状況に関わらず自社の取り組み状況を把握し、改善点が見つかるように作られている。
EUでは、昨年10月に約6000社を対象として2017年までに人権を含む非財務情報の公開を義務づけるEU指令が可決されたばかりだ。欧州で事業活動を展開している企業にとっては人権に関する取り組み状況の把握、報告が急務となっているが、同フレームワークはその大きな助けとなる。ガイドラインの詳細について詳しく知りたい方は下記からどうぞ。
【報告フレームワーク】The UN Guiding Principles Reporting Framework
【参考サイト】UN Guiding Principles Reporting Framework
【団体サイト】Shift
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