米国の環境保護団体ForestEthicsは1月7日、同日公表したレポート"Peeling Back the Eco-Labels”の中で、森林保護の分野で世界をリードしている二大森林認証プログラムのForest Stewardship Council(FSC)とSustainable Forestry Initiative(SFI)に認証プロセスを厳密に比較・監査した結果、FSCと比較してSFIの認証プログラムは重大な問題を抱えていることが分かったと発表した。
報告書の公表に際し、ForestEthicsの理事を務めるTodd Paglia氏は「森林認証は、紙や繊維、木材が責任ある形で調達されていることを証明するものであり、企業や市民はそれを信頼して購入している。森林認証ラベルは消費者が森林破壊や環境汚染、人権侵害につながる製品の購入を防ぐためのものだが、SFIについては認証ラベルが誤解を引き起こしている」と語り、警鐘を鳴らした。
ForestEthicsによれば、FSCおよびSFIが公開している過去10年間分の報告書を分析した結果、FSCと比較してSFIは大きく透明性にかけ、監査チームも小さく監査時間も短いことが分かったという。また、SFIの報告書の半数以上が適切なデータを欠いており、木材関連企業に対して業務慣行改善に向けたアクションをほとんど要求していないなど、多くの問題点が見つかったとのことだ。ForestEthicsのレポートの中で指摘されているFSCとSFIの主な比較ポイントは下記の通りだ。
- FSCの監査チームはSRIよりも75%大きい
- FSCの監査はSFIの3倍の監査工数がかけられている
- FSCの監査員はSFIと比較して10万ヘクタールあたりの監査に4倍以上の時間を費やしている
- SFIの監査チームは木材業界の出身者に大きく偏っており、FSCの監査員の4分の1はカナダの原住民グループ出身者で占められているのに対し、SFIには一人もいない
ForestEthicsのJim Ace氏は「森林周辺に住む人々、そして自分の購入している紙は森林を破壊していないということを確かめたい全ての人々が最大の被害者だ」と語った。また、Paglia氏は「SFIの認証は木材産業によって運営されている。これは、タバコ会社によるタバコの認証シールと同程度の信頼性しか持たない」と指摘する。
一方、FSCと比較した際の認証プロセスの信頼性を指摘されたSFIは、ForestEthicsが上記報告書を発表した数日後の1月12日に2019年までの新たな認証基準”SFI Standard 2015-2019”を公開し、今後も新たに定めた基準に基づき企業や消費者の責任ある森林調達を支援していくことを表明している。
監査人員の規模や監査にかけた時間、監査人員の構成などがそのまま認証プログラムの信頼性につながるかどうかを判断することは非常に難しいものの、ForestEthicsの指摘は少なくとも認証プログラムや認証済み製品を無条件に信頼することは得策ではなく、それらの実態が本当に信頼に足るものであるかどうかをしっかりと検証する必要性を浮き彫りにしている。
【レポートダウンロード】Peeling Back the Eco-Labels
【団体サイト】ForestEthics
【参考サイト】Forest Stewardship Council / Sustainable Forestry Initiative
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