WBCSD(World Business Council for Sustainable Development:持続可能な発展のための世界経済人会議)が11月4日に公表した調査報告書”Reporting Matter 2014”によると、大手グローバル企業らによる非財務情報の開示状況は改善しており、そのアプローチには多様性があるものの全体としてはサステナビリティ報告がより標準化してきていることが分かった。
同調査報告書は世界35ヵ国、20業界以上にまたがる162のWBCSD会員企業が発行した統合報告書およびサステナビリティレポートの調査に基づくもので、先進的な企業が事業変革に向けてレポーティングプロセスをどのように活用しているのかを示し、非財務情報開示の価値をより多くの企業に広めていくことを目的としている。
同報告書によれば、今年度の調査ではマテリアリティの特定方法に関する情報開示の質が19%向上しているほか、戦略・目標・パフォーマンスの関連性が全体平均で18%改善、さらに、情報開示のタイムリーさも改善し、2013年は年末から平均6カ月後であったのに対し、2014年は平均4.5ヶ月だったという。
また、WBCSDは、グローバル企業の非財務情報開示においては大きな前進が見られる一方で、その効果については未だ改善の余地もあるとしている。WBCSDによれば、自然資本と社会資本の測定・評価を統合する信頼性の高いツールがなければ非財務情報は企業活動に結合できずに単なる年に一度の開示で終わってしまうため、現在会員企業らと協力して企業の投資意思決定に影響を及ぼすツールの開発に取り組んでいるとのことだ。
WBCSDのCEOを務めるPeter Bakker氏は「最終的な目標は、よりサステナブルな企業が成功し、金融市場や顧客から報酬を得られるようになることだ」とし、そのためには「財務、社会、環境におけるパフォーマンスについて簡潔にまとめた信頼性のあるデータや情報を開示する必要がある」と語る。
また、今回の調査において評価基準の開発にあたった英国ロンドンのコンサルティング会社Radlley Yeldar社でコンサルティング部門の責任者を務めるBen Richards氏は「レポーティングおける一連の作業は、ベストプラクティスを集め、自社の挑戦を顧み、一度立ち止まって次年度の計画を立て、人々に対し将来へのエネルギーをもたらす機会を与えてくれる最も効果的な方法だ。より多くの企業がレポーティングにおいてその心構えを大切にすることができれば、今日の大きな課題に対して大きく前進することができるだろう」と語った。
WBCSDは、財務、環境、社会パフォーマンスを結合させた簡潔な情報開示はより持続可能かつインクルーシブな経済への移行に向けて重要な役割を果たすとしており、積極的に会員企業らに対して非財務情報の開示を推進している。
【レポートダウンロード】Reporting Matter 2014
【リリース原文】Global survey of leading companies reveals improved strategic disclosure in non-financial reporting
【団体サイト】The World Business Council for Sustainable Development
【企業サイト】Radley Yeldar
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら