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【国際】世界の大企業の68%が水リスクを脅威と認識

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全ての企業にとって水は重要な資源である一方で大きな事業リスクでもあり、そのリスクマネジメントが求められている。

CDPが11月5日に公表したレポート”From water risk to value creation”によると、世界の大企業のうち約3分の2にあたる68%の企業が水に関連するリスクを報告しており、その中には、将来的にビジネスモデルや事業運営の転換が必要となるもの、事業の成長を妨げるほど深刻な影響を与える可能性があるものまで含まれているとのことだ。

この分析結果は、60兆ドル以上の運用資産を持つ573の機関投資家の要求のもとCDPに提供された、FTSE Global 500 Equity Indexに選出されている174の大企業の水リスク管理データに基づくものだ。

また、こうした水リスクを報告する企業が増えている背景には、水不足や水質汚染によるビジネスへの影響を懸念する株主が増えているという事情もある。実際にCDPを通じて水に関連する問題についての説明責任や情報を求める投資家は2010年と比較して300%以上も増加しているという。

CDPによると、操業停止や株主価値の損失など、報告されている853のリスクの半分以上は現在または3年以内に影響が出ると想定されているという。また、特に深刻な影響があるのは多くの企業が今後の成長機会を見込んでいるブラジルや中国、インド、メキシコといった新興国や、非常に深刻な水不足が報告されている南米最大の商業都市、サンパウロだと考えられているとのことだ。

一方で、Diageo, H&M, Merck, Unileverなど、水リスクに既に対応し始めている企業もある。全体の4分の3の企業が、水の量や質が事業戦略に与える影響を評価しており、水リスクを事業運営だけではなく経営課題として捉えているという。CDPの調査によると、経営層が水リスクに対する責任を負っている企業の割合は2013年の58%から62%まで増加しており、90%の企業は水課題を自社の事業戦略に統合しており、82%の企業は水使用量を削減するための具体的な目標を設定しているとのことだ。

さらに一部の先進企業はリスクの軽減にとどまらず、リスクを逆に好機と捉えて積極的に投資している。例えば化学大手のBASFは、節水、水の再資源化、再利用または飲用水処理化関連製品で2020年までに10億ドルの売上を見込んでいるという

CDPは、リスクに対してこのような前向きな動きもある中、情報の開示という点ではまだまだ企業は投資家の期待に応えきれていないのが現状を指摘している。特に、エネルギー業界は大きな水リスクにさらされているにも関わらず開示レベルが最も低い状況にある点が報告されている。

CDPのCEOを務めるPaul Simpson氏は「水はどんな企業にとっても必要不可欠な資源だ。水に関連する問題が企業のブランド価値を傷つける、成長を妨げる可能性はますます認識されつつある。水の需要がかつてないほど高まる背景から、企業に説明責任を求める投資家はここ4年間だけで4倍以上増加した。このような状況で、水に関連するリスク管理をきちんと説明できていない企業が多く存在することは非常に深刻な問題だ」と語る。

緊急性が高まりつつある水リスクと投資家からの要望を前に、企業はリスクへの対応策だけではなく、より積極的な情報開示やリスクの機会への転換も求められるようになってきている。

【レポートダウンロード】From water risk to value creation
【団体サイト】CDP

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