UNEP(国連開発計画)にてインクルーシブビジネスを推進するBusiness Call to Action(以下、BCtA)は9月24日、米国ニューヨークで開催されたBCtA年次フォーラムの中で、BCtA会員企業が過去5年間で展開したインクルーシブビジネスの中でも特に高い成果を上げた先進事例をまとめたレポート"Breaking Through: Inclusive Business and the Business Call to Action Today ? Mapping Challenges, Progress and the Way Ahead"を公表した。
インクルーシブビジネスとは、開発途上国に暮らす貧困(BOP)層の人々を、事業のバリューチェーンに取り込みながら、コミュニティ開発とビジネスが両立する形で進めていくビジネスの形態を指す。
同レポートによると、BCtA会員企業らによる一連の活動で約4000万世帯、2億人の貧困層に対して救急医療から調理器具にいたるまで幅広い製品・サービスが提供され、そのうち約20万世帯、100万人の人々がサプライヤー、起業家、従業員などとして新たな仕事の機会を獲得し、家計収入を増やすことに成功したとのことだ。
加えて、同レポートでは発展途上国に本社を置く中小規模の新興企業が貧困層に利益をもたらす上でますます重要な役割を担うようになってきていると指摘しており、BCtAで活動プログラムマネージャーを務めるSahba Sobhani氏は「これらの新興企業は今やブレーク・スルーの段階に達しつつあり、収益面だけでなく貧困層のニーズとのマッチングという面でも既存の大手企業より成果が出てきている」と評価する。
また、このBCtAのポートフォリオ全体を俯瞰してみるとBCtA会員企業らがどのようにこれらの先進的な活動を拡大しているか、という戦略が見えてくる。同レポートの共著者のCaroline Ashley氏は、「先進的な活動の拡大については成功させるための決まった手法はなく、5つの共通戦略のもとでビジネスモデルをローカライズさせていくことが重要だ」と語る。
Caroline氏が指摘する5つの戦略とは下記の通りだ。
- パートナーシップの慎重な選定・変更
- 購買意欲の喚起
- 新たな機会の創出に向けたICTの活用
- 規制のプラスの力への転換
- 適切なファイナンスと組織内部の合意形成の確保
同レポートでは、インクルーシブビジネスは未だ多くの課題を抱えているものの、幅広いセクターの企業がインクルーシブビジネスを持続可能で商業性のあるビジネスモデルだと見なしていることには疑いがなく、更なる成長と持続可能なインパクトを実現する可能性を持っているとしている。
インクルーシブビジネスに興味がある方は、ぜひレポート詳細を見て頂きたい。掲載されている事例を分析することで、ビジネス・途上国開発の両面で新たな知見や洞察を得ることができるはずだ。レポートは下記から無料でダウンロード可能だ。
【レポートダウンロード】Breaking Through: Inclusive Business and the Business Call to Action Today ? Mapping Challenges, Progress and the Way Ahead
【団体サイト】Business Call to Action
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