サステナビリティ専門メディア大手のGreenBizグループが公表した最新レポート“Sustainability and Employee Engagement: The State of the Art,”によれば、先進的なサステナビリティ教育プログラムを持っている企業ほど、新製品の開発や新市場の開拓にサステナビリティを上手く活用できているという。
同レポートはあらゆる規模の企業1,300社以上に対する調査に基づいており、GreenBizグループは2008年と2011年にもNational Environmental Education Foundation(米国環境教育財団、以下NEEF)の協力を得て同様の調査を実施している。
レポートの著者であるGreenBizグループの副社長兼シニアアナリストのJohn Davies氏は「サステナビリティ担当役員らがとってきた従業員エンゲージメント戦略は、2008年に我々が初めて公表した調査結果から大幅に変化した。今日では、より先進的な教育プログラムを持つ企業は彼らの努力を競争優位につなげている。また、彼らは従業員とのコミュニケーションや教育方法も変えている。おそらく最も重要なことは、彼らは自らの専門知識を活かすために、どのように人事部門と協働するかを学んでいるという点だ」と語った。
同レポートが示す主なポイントは下記の通りだ。
競合と差別化するための教育
GreenBizグループの調査によれば、自社は先進的な教育プログラムを持っていると考えている企業と、自社はまだ取り組みの初期段階にあると答えた企業の間には大きな違いがあることが分かった。
前者の企業のうち63%はイノベーションや新商品、新市場の創出に向けてサステナビリティを活用している一方で、後者の企業では、その割合は37%に留まった。また、サプライチェーンにおける環境配慮については、前者の企業は59%がこの問題に焦点を当てているのに対し、後者の企業の割合は38%となっている。
上記の結果から、サステナビリティ教育プログラムの展開状況により、実際のサステナビリティの事業への統合状況も大きく変化することが分かる。
サステナビリティは環境への取り組み以上の内容を含む
「サステナビリティ」という表現は、企業の環境およびサステナビリティ活動の代名詞として浸透しており、51%の企業がこの言葉を好むと回答した。次に人気のある表現は「Corporate Social Responsibility(企業の社会的責任)」だが、その割合は約12%に留まっている。これは、回答者の94%が、次の5年間で環境問題と社会問題はより切り離せなくなると考えている結果を反映しているようだ。
教育戦略も変化している
従業員へのサステナビリティ教育も変化している。2008年の調査ではオンライン教育とコンサルタントの活用が最も人気のある2つの軸となっていたが、2014年にはそれらの重要性は16%に低下している。2008年以降もっとも人気が高まった戦略はグリーンチームの活用(42%)で、従業員ネットワークの活用(29%)がそれに続く。
Davies氏は、企業がサステナビリティを従業員のカルチャーに統合しようとすると、いくつかの課題に直面すると指摘する。同氏によれば、「人事部門にとっては『従業員エンゲージメント』という言葉はサステナビリティ担当者の考える意味とは異なる意味を持つ。サステナビリティ担当者が従業員エンゲージメントについて語るときは、多くは従業員ボランティアや、従業員の参画を意味することが多い」という。
優秀なサステナビリティ担当者ほど、人事部門を生産的なパートナーとして巻き込むためには、これらの言葉を彼らに合わせることが重要だということを理解しているというのが同氏の結論だ。
サステナビリティ戦略を描くだけではなくその戦略を実際に実行に移して成果を上げるためには、従業員の教育や従業員エンゲージメントが不可欠だ。そしてそのために重要なのは、サステナビリティ部門と人事部門がいかに連携を深められるかだと言える。今回のGreenBizグループのレポートでも改めて従業員教育の重要性を浮き彫りにしている。
レポートの詳細は下記からダウンロード可能。
【レポートダウンロード】Sustainability and Employee Engagement: The State of the Art,
【企業サイト】GreenBiz Group
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