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【アメリカ】ICT企業の人権保護 高まる海外からの圧力

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イギリスのNPO団体、Business & Human Rights Resource Centreは、人権に関する専門家やビジネスマン、政府代表者を集めたシンポジウム"Rightscon"を米国シリコンバレーで開催した。今年のシンポジウムでは、特にICT(情報通信技術)企業が焦点となり、開会前に配布された資料の中で、世界中のICT企業に対して、人権保護に対する積極的な貢献と人権侵害となるような悪用を避けるよう要求した。

ICTと人権保護との関連性が上手くイメージできないかもしれないが、プライバシーや表現の自由などの面で大きな関わりがある。例えば、スーダンでの反政府運動に際し南アフリカの通信企業MTNがインターネットを閉鎖したり、カナダのNetsweeper社がパキスタン政府による市民の情報検閲に協力したことが、今回の"Rightscon"でも取り沙汰されている。Yahooが中国の民主活動家の個人情報を中国政府に提供したことや、Foxconn工場での劣悪労働環境の問題も人権侵害として取り上げられた。

ICT企業側の人権に対する関心も年々高まっている。Business & Human Rights Resource Centreが企業に対して回答を要求した人権侵害懸念事案について、2006年時には13%の案件しか企業から回答がなかったが、今年は回答率が70%に達した。

ICT企業が特に懸念を寄せている地域として、以下が指摘された。

  1. 中国(劣悪労働環境)
  2. 中東・北アフリカ(市民監視、情報検閲、インターネット閉鎖)
  3. 南アフリカ(劣悪労働環境、情報検閲)
  4. 米国(紛争鉱物規制に反対する業界団体からのICT企業への協力要請)

ICT企業が人権保護に貢献できる分野として、本シンポジウムで配布された資料には、以下の7点が強調されている。

  • 検閲と闘うこと
  • 市民監視や抑圧を防ぐこと
  • プライバシーを保護すること
  • 情報へのアクセスを拡大すること
  • サプライチェーンに関わっていくこと
  • 子どもの権利を尊重すること

が取り上げられている。

Resource Centre’s ProgramのディレクターAnnabel Short氏は、「ICT企業が活用できる人権に関する実践的なガイドラインはすでにたくさんある。テクノロジーは日々変化し、国境を超えて法律が異なる地域へ影響を与える。企業の全オペレーションで人権尊重を確実にしていくことは容易ではないが、全ての企業が目標とすべきゴールだ」と語る。

ビッグデータやプライバシーへの関心は、日本以上に海外では高い。Business & Human Rights Resource Centreが回答要求した懸念事案は、日本企業の海外案件にも及んでいる。今回は、カシオ計算機(バーレーン)、三菱電機(バーレーン)、NEC(バーレーン・中国)、パナソニック(スーダン・米国)、ソニー(中国)、東陽理化学研究所(中国)に回答要求がなされた。そのうち、カシオ計算機と三菱電機は回答をしていない。他の企業にとっても、いつこのような回答要求書が届くかわからないし、回答状況は世界中に公開されてしまう。年々人権団体による企業監視の眼は厳しさを増す中、ICT企業における人権対応への必要性も増えていく。

【企業サイト】Business & Human Rights Resource Centre

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